首 01

首のアイソレーションで、固まっていた首を動かし始めた

鏡の前で頭を左右へスライドさせて動きの差を比べ、固まっていた首を、自分で止められる範囲の力で少しずつ動かしていった記録です。

身体がねじれていると、左右で動きに差が出る、と私は考えています。最初は、それを首で確かめました。

ダンスの練習に、頭だけを横へスライドさせる動きがあります。やってみると、首を横へ動かせる幅は、想像していた以上に狭くなっていました。

鏡の前でこの動きをすると、片側はすっと動くのに、反対側は途中で止まることがあります。動いた距離は同じに見えても、顎が回ったり肩が上がったりして、別の動きで補っていることもあります。

首のアイソレーションはダンスの技術ですが、私にとっては、長いあいだ固まっていた身体を動かし直すために必要な練習でした。

下の図は、首の横にある胸鎖乳突筋の位置です。胸鎖乳突筋は、耳の後ろから鎖骨へ斜めに走る太い筋肉です。首を横へ動かすときにこの筋肉がどう働くか、位置を確かめながら見てください。

首と胸鎖乳突筋の位置(図: Z-Anatomyを基に作成)

動かないと思っていた首も、働きかけ方を変えると動き始めました。首のアイソレーションは、そのことを自分の身体で確かめやすい練習だと思います。

下の図は、鏡の前で首の左右可動域を比べている様子です。止まる側と、止まる手前で顎や肩がどう動くかを見てください。

鏡の前で比べる首の左右可動域
鏡の前で、首の左右可動域と、顎・肩・胸郭が一緒についてこないかを比べます。

01

首が一つの塊のように動く

ここで言う「首が固まる」は、骨そのものが硬くなることではありません。頸椎(首の骨の連なり)の一つひとつの関節や周りの組織、首を動かすときの癖がひとまとまりになって、いくつもの骨が一つの塊のように動いている状態を指しています。横を向こうとすると、首全体がまとめて動いてしまう感じです。

下の図は、首の一番上、頭のすぐ下にある環椎(C1)と軸椎(C2)の位置です。首を回す動きの起点がどこにあるか、確かめてみてください。

環椎(C1)と軸椎(C2)の位置

首を横へ動かしているつもりでも、実際には、顎が左右へ回る、頭が傾く、肩が上がる、胸郭まで一緒に動く、といった代償が混ざります。代償とは、本来動かしたい場所の代わりに、別の場所が肩代わりして動くことを言います。

骨格ねじれ研究所は、首の中で本来使いたい動きが出ないために、別の場所がその仕事を引き受けて代償が起きているのではないか、という仮説から始まりました。

02

左右差を鏡で比べる

身体の位置関係がずれていると、左右で同じように動かしているつもりでも、実際に動ける範囲(可動域)に差が出ます。

その差を「体質だから」で片づけずに、鏡の前で首を左右へ動かし、どこで止まるか、どちら側で顎や肩が先に動くかを見ます。毎回同じ条件で比べていると、身体の中で固まっている場所を探しやすくなります。

最初はほとんど横へ動かなくても、練習を重ねると、止まっていた場所が少しずつ動き始めることがあります。

私の場合は、動かなかった場所が「メキメキ」と音を立てるような感覚とともに、可動域が変わっていきました。この音で骨の位置が直ったと言えるわけではありません。それでも、昨日まで一つの塊だと思っていた部分にまだ動く余地がある、と実感するきっかけにはなりました。

03

アイソレーションを、固まった身体の練習に使う

アイソレーションは、身体の一部だけを独立して動かす練習です。身体が固まっているときは、力任せに完成形を作ろうとせず、これまで動かなかった関節の動きを一つずつ取り戻していくことが必要だと私は考えています。首のアイソレーションは、それをいちばん分かりやすく始められる動きです。

左右の動きを鏡で比べる
        ↓
途中で止まる場所に気づく
        ↓
小さく、じわっと動かす
        ↓
動かなかった範囲が動き始める
        ↓
新しい可動を全身の動きへつなぐ

04

可動域を広げるには、ある程度の力も要った

私の場合、まったく力をかけずに可動域が広がったわけではありません。長く固まっていたところを動かすには、自分で動きを制御しながら、じわっと力を加える必要がありました。途中で首に負担を感じたこともあります。

といっても、力は強ければ強いほどよいわけではありません。自分で止められる範囲の力を、少しずつ調節しながら使います。勢いをつけて首をひねる、音を鳴らすこと自体を目的にする、他人の手で強く押す、といったやり方とは分けて考えています。

違和感が軽く、その場で動きを制御できるうちは、少しずつ動く範囲を探ります。鋭い痛み、しびれ、めまい、吐き気、力が入りにくい感じが出たら、その動きはやめてください。

05

骨格模型の動画を見て、首の中を想像する

首を動かすとき、外から見える輪郭だけを頼りにすると、何を動かしているのか分からなくなります。そこで、骨格模型を使った動画で、頸椎がどう積み重なり、頭蓋骨・胸郭・肩甲帯(肩甲骨と鎖骨)へどうつながるのかを先に見ておきます。序章「動かないと思っていた骨を動かす」で書いた手順と同じです。

見た骨の形を自分の首の中に重ねて、首を一本の棒と考えずに、小さな骨と関節の連なりとして意識します。そのうえで、筋肉を使って、関節同士の関係を変えるつもりで小さく動かします。研究所では、これを「骨で骨を動かす」と呼んでいます。

下の図は、頸椎の一つひとつの連なりを、自分の首の中に重ねて動かすイメージです。どの骨とどの骨の間を動かしているかを意識しながら見てください。

頸椎の連なりを身体の中に重ねて動かす

06

最初に、大きな鏡を用意する

首の練習でも、序章と同じく、全身が見える大きな鏡を使います。まっすぐ動かしているつもりでも、顎が回ったり、肩が上がったり、胴体が逃げたりしていることがあり、自分の感覚だけでは分かりません。鏡に映して、感覚と実際の動きを照らし合わせます。

自分ではまっすぐ動かしている感覚
              +
鏡に映る実際の動き
              ↓
身体内部の地図を更新する

07

首から始める理由

首は、左右の差をその場で比べやすく、変化も鏡で確かめやすい場所です。

動かないと思っていたところが動いたり、取れないと思っていた位置へ頭が移ったりすると、自分が想像していた骨格と、実際に動かせる骨格が違っていたと分かります。首で最初にこれが分かると、そのことが、あとで胸郭、肩甲骨、背骨、骨盤を動かしていくときの土台になる、と私は考えています。

鏡の前では、次の順番で試してみてください。

  • 大きな鏡の前に立ち、頭だけを左右へスライドさせる。
  • 止まる側と、顎・肩・胸郭が一緒についてくる瞬間を見る。
  • 自分で制御できる力で、狭い側を少しずつ広げる。

首の左右差を書き留める記録シートA「首の左右差ノート」は、『私が、自分の骨格のねじれを修正した方法』(PDF)の第2章の最後に付けています。

参考URLと参照範囲

このサイトの記事は、ミトン先生の体験と研究所の考えを記録したものです。方針の全文はサイトの方針をご覧ください。