手首だけなら動きますし、肘も動きます。それでも、指先から肩まで一つの波を通そうとすると、途中で途切れてしまうことがあります。
『骨格ねじれ研究ノート』の中心には、動きを「分ける」ことと「結ぶ」ことを、目的に合わせて選び直す見方があります。この記事は、その第3章をもとに、腕のウェーブを例にして書いています。
分けることと、結ぶことは何が違うのか
「分ける」は、隣り合う区間のあいだで、片方に対してもう片方がどう動くかを見ることです。たとえば前腕を基準にして、手がそれに対してどう動くかを見ます。「結ぶ」は、いくつかの区間の動きを、順番や時間差をつけて受け渡すことです。
| 見方 | 注目すること | 腕のウェーブでの説明例 |
|---|---|---|
| 分ける | 隣との間に、違う動きの選択肢があるか | 前腕に対して、手がどう動くか |
| 結ぶ | 次の区間へ、動きがいつ渡るか | 手から前腕へ、波の山がどう移るか |
「分ける」時に、隣の部位を力ずくで固定して、まったく動かないようにする必要はありません。隣が少し一緒に動いたら、それもその日の動き方として観察しておきます。「結ぶ」時も、いつも全身を一度に動かすわけではありません。課題に必要な支えは残したまま、受け渡しを見ます。
波が止まって見える時の見立て
私は、完成した動きを繰り返すだけでは止まる場所が変わらないと感じて、動作を分けて見ることを大事にするようになりました。これは私の体験で、部分練習が通し練習より優れていると確かめられているわけではありません。
本では、ひとまず次のように見立てています。
- 隣と一緒にしか動かないように見えるなら、相対的な動きに注目します。
- 一つずつは動くのに続かないなら、二つの区間の受け渡しに注目します。
- 分けようとして動き全体が不安定になるなら、必要な連動まで失っていないか見直します。
たとえば手首のところで波が止まって見えたら、手首の動く幅だけを増やそうとする前に、前腕が動き始めるタイミングを見てみることもできます。これは次に見る場所を変える一つの例で、原因の判定には使いません。
腕のウェーブを動作解析と筋電図で調べて、熟練者と未熟練者の動きの特徴を比べた研究があります[1]。各部位が動く割合や、動きが伝わる速さを観察の対象にできる、という点で参考になります。ただ、この研究は「分ける→結ぶ」という練習法の効果を確かめたものではありません。
部分で変わったら、元の動きで確かめる
手と前腕の関係が分かっても、それだけで指先から反対の指先までのウェーブが変わったとは言えません。部分での変化と、元の動作での変化は、別々に記録しておきます。
| 確かめる場面 | 見ること |
|---|---|
| 元の動作 | 最初は、どこで途切れて見えたか |
| 一つの区間、または二つの区間 | 違う動きや受け渡しを観察できたか |
| もう一度、元の動作 | 同じ場所の見え方が変わったか |
この表は、元の課題や後日の記録に戻って、見立てを直していくために使います。全員が同じ順番で練習するための手順ではありません。その場で動きやすくなったことと、時間をおいても同じように動けることも、別のこととして扱います。
観察のために自分で動かす時も、無理に動く幅を広げたり、隣の部位を押さえつけたりする必要はありません。痛み、しびれ、めまいなどが出たらやめて、新しい症状や急な悪化があれば、医療の専門職に相談してください。
本では、全部をばらばらに動かせるようにすることを目標にせず、今の動きに何が必要かを見ながら、分けることと結ぶことを行き来して、身体の使い方を考えていきます。
参照
参考URLと参照範囲
- 佐藤ほか(2010)ウェーブ動作から見た身体スキルを構成する因子の研究上肢ウェーブの熟練者・未熟練者の比較。練習法の効果、長期保持、日常動作への転移を証明するものではありません。https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/25/5/25_5_651/_article/-char/ja
個別研究やガイドラインは、本記事の観察法や独自理論を証明するものではありません。本文で明示した対象・条件・限界の範囲で参照しています。
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